◆ ミッションオーバーホール ◆
■ ミッション単体ではこんな形状です、外観は汚れや錆なども無く、とても綺麗ですが…
■ 当然といえば当然ですが、クラッチの粉塵でハウジング内が真っ黒です!
使用していたのはATS製カーボンですが、違う材質のクラッチを使っても似たように
汚れているものです。
■ まずはレリーズベアリング、説明するまでも無く必ず交換する部品のひとつですね。
■ シフトレバーシャフトの根元部分に存在する2つのプラスチックパーツに亀裂が・・・当然交換致します、
金属質な材質などもう少し丈夫にすると良いのかも知れませんが、そうすると、ギアの「うなり音」が
ダイレクトに響いて来ると思われますので、純正の方が良いとおもいます。
■ ミッションケースの中には、マグネットが入っています、細かい鉄粉がビッシリ付いて
いました、しかし、構造上全く付かないと言う事は有り得ないので必要以上に
心配する事は無いと思います、ちなみに、このミッションはTOTALやオメガなど、高品質なオイルを常用して
いましたので、低質なギアオイルを使用していれば、もっと激しく鉄粉が付いていたかも知れません。
■ デジカメの性能が悪いので、良くわからないと思いますが、オイルポンプのストレーナーの網目にも
鉄粉がたくさん付いていましたちゃんと役目を果たしていると言う事ですね。
■ オイルポンプギアです、右手に持っているのが今まで付いていたギアで左手に持っているのが
新品です、デジカメの性能が悪いので見難いですが、今まで付いていた方は
表面に傷が付いているのがおわかり頂けると思います、エンジンに比べると
金属片が回ってしまう確率が非常に高いので傷が付き易いと思いますミッションオーバーホールの際は
必ず交換したい部分ですね。
■ シンクロハブです、使用状況から考えてこのくらいの消耗はすると思います、
右側の表面の色が変わっているのが今まで付いていた物で、左側が新品です、
新品と比べると、角も若干の消耗がみられます。(画像ではわかりにくくて申し訳ありません)
■ スリーブです、手で支えているのが今まで付いていた方で右奥に見えるのが新品です、
古いほうはスプラインの角が「めくれた」様になっているのがおわかり頂けるとおもいます。
当然「要交換」ですね。
■ シンクロです、正確にはタブルコーンシンクロなので、この部品の他に2点ほど構成部品が
ありますが、一番影響を受けそうなこのシンクロは交換の必要が無いと言えるほど痛んでいませんでした、
しかし、部品の供給はセットになるので、新品に交換します。
■ ミッションは似たような形状の部品が多いので、一つずつホワイトガソリンで洗浄しながら
確認点検をしています。
組付け時には馴染みが良いようにギアオイルを塗りながら作業を進めていきます。
■ カウンターシャフトの曲りや各ベアリング取付部のシャフト外径を測定・点検します、
基準値内に収まっていなければ交換になりますが、今回は基準値内でした。
■ それぞれのギアの隙間を点検します。基準値外の場合は、各ギアともに交換になります。
■ メインシャフトのスラスト方向のクリアランスを測定致します、調整にはシムを使用していますが、
整備書では21種類の厚さが設定されていますので、シム発注にあたり、ある程度厚さを絞り込んで
おく必要があります、事前に測定し、3種類まで厚さを絞り込んでからシムの発注を致しました。
ちなみに、専用工具はホンダからも発売されていますが、自作しました。
■ セカンダリーシャフトのシム調整をしますあらかじめ数種類の候補の中から、
とりあえず狙いに近い厚さを入れ、ミッションケースを規定トルクで締め付けします、
締め付け後、ベアリングを馴染ませるため、手で数回転動かしてみて確認します
■ その後、バネ秤を使って、起動トルクが規定値内に収まっているかどうか確認します、
今回は規定トルクに収まるシムの厚さにたどり着くまで3回ほどシムを入れ替えて
繰り返し作業を行いました。